お兄ちゃんがびっくりして立ち上がった。びっくりするのも分かるけど、変なこと言わないで欲しい。


「そうですよ。ね、葵ちゃん」


「それ、葵が関係あるのか?」


お兄ちゃんが私を見て、聞くから、首を横に振った。私が原因ではない。私は横取りしてないし、何もしてない。藤沢さんが勝手に別れたのだ。


「葵ちゃん?いや、ないですね。俺の問題ですから。渉さん、食べないなら食べちゃいますよ」


「待て、俺も食べるから」

私たちの返事に安心したのか、お兄ちゃんも食べ始めた。しかし、誰も喋らなくなった。静かに食べるのも、何だか気まずい。

何か話そうかな。でも、何を話そう。


「なんだ?みんな静かになっちゃって。次、何を食べるかい?」


店長が話しかけてきたけど、誰も答えない。次、何を食べよう。私はメニュー表を広げた。


「幸紀。お前さ、葵をどう思っているんだ?」


「葵ちゃんは運命の子だと思うし、幸せにしてあげたいとも…思っていますよ」


「は?葵が好きなのか?」