空を時々見上げながら、日常的な話していると今日あったいろんな出来事がかなり前のことに感じてくるから、不思議だ。


「いらっしゃいませ!おー、葵ちゃんと、そっちのお兄ちゃんはこの前酔い潰れた人だっけ?」


「この前は大変失礼しました。でも、俺、あまりというか途中からまったく記憶がなくて」


藤沢さんが頭をかきながら、弁解する。


「まあ、あれは渉くんが悪かったよな。葵ちゃんも渉くんを珍しく叱っていたもんな」


「だって、お兄ちゃんの飲ませ方がほんと意地悪だったもの」


あの日のお兄ちゃんはかなり藤沢さんに敵意を抱いていたと思う。焼酎が苦手だというのに焼酎ばかり飲ませていた。

私たちはカウンター席に並んで座った。


「飲み物は何にする?」

店長から温かいおしぼりを受け取る。


「えーと、グレープフルーツサワーをください。葵ちゃんは?」


「私は…」


「葵ちゃんは梅酒のロックだよね?」


「そうそう。フフッ、覚えていてくれるなんて、さすがですね」