空になっていたコーヒーカップを持って、給湯室に行く。

あれ…誰かのが残ってる。洗い忘れか2つのコーヒーカップがシンクの中に置いてあったので、一緒に洗う。

藤沢さんのもとに戻るとちょうど終わったらしくパソコンを閉じていた。


「終わりました?」


「うん。またあそこの焼き鳥屋に行こう」


え?真っ直ぐ帰ろうと思っていたのだけど、どうしよう。


「あの…」


「あそこの焼き鳥、旨かったからまた食べたいんだよね」


「あそこ、気に入ってくれました?」


「うん」


私のお気に入りのお店を気に入ってもらえたのは嬉しくて、なんだか心が弾んできた。食べてから帰ってもいいかな。

あ、やっぱり赤い頬が気になる。


ピタッ…


「え?」


「まだ赤いです。痛いですか?私の手、今冷たいから」


水で洗い物をしたから手が冷えていた。腫れてはいないけど、赤くなっている頬を冷やすのにちょうどいい。


ギュッ…


頬に当てた手を掴まれた。嫌だった?