言葉に詰まる藤沢さんに伊藤さんが詰め寄る。


「俺の運命の子です」


「はあ?運命?何言ってるんだよ?」


「ええ?」


予想もしていない答えに私は口が大きく開いてしまった。

私が藤沢さんを運命の人だと感じたように、藤沢さんも感じていたの?そんな素振りは今まで1度も見たことがないから、信じられない。

嘘を言ってる?この場の成り行きで適当に言ったとか?


「とにかく、帰ってください。萱森さんは俺と帰りますから」


「え?」


藤沢さんが伊藤さんから離すように私の腕を掴んで、引き寄せた。

うわっ、いきなり近い。


「ふーん、結局そういうこと?分かったよ、帰るわ。お先に」


「お、お疲れさまでした」


帰っていく伊藤さんにありきたりの言葉を返した。しかし、この隣にいる藤沢さんはどういうつもりなの?


「あとどのくらいかかる?」


「さ、30分くらいかな」


「オーケー。俺もそのくらいに終わらせるよ」