お見合いを勧める彼氏って…藤沢さんは何を考えているのだろう?


「幸紀は私と結婚するつもりじゃないの?私が他の人と結婚してもいいの?」


ああ…やっぱり小島さんは結婚しようと思っていたんだ。結婚は片方だけがしたいと思っても成立しない。お兄ちゃんたちもお兄ちゃんだけが思っていて、成立しなかった。

恋愛と結婚って、難しいな。


「俺は由里と結婚する気はないよ」


「どういうこと?別れるってことなの?」


「まあ、そうだな。別れてもいい。別れよう」


ええ?別れる?

って…こんな人がいる前でまさかの別れ話?いいの?ここで言ってしまって…。販売課の中はしーんと静まっている。誰も物音1つ立てることの出来ない状態だ。動けない。


「へー、とうとう別れるんだ」


「伊藤さん…」


沈黙を破ったのは、伊藤さんだった。いつの間に来たのだろう。しかも、私の隣に立っている。

藤沢さんと小島さんがこっちを向いた。