まだ残っていた社員全員が小島さんに注目した。藤沢さんも大きな声に驚いたらしく振り向く。小島さんは迷うことなく藤沢さんの前に行った。


「どういうことなのよ！」


「え？由里、話が見えないんだけど」


「お父さんにお見合いしろって言われたの！何でそんなことになっているのよ！」


え？お見合い？何でまた…小島社長は藤沢さんを気に入っていて、結婚させるつもりだったのでは？


「ああ、見合いか。そろそろ結婚する年頃だって、言ってたもんな」


「なによそれ、お父さんから聞いていたの？幸紀、どういうつもりなの？お見合いしてもいいの？」


みんなずっと見ていてはいけないと思い、それぞれパソコンに向かったけど、手が止まっている。私もその中の一人だ。気になるから、耳がダンボになる。ダンボにしなくても小島さんの声が大きいから聞こえてくるけど。


「見合いも結婚する１つの手段だし、お父さんが見つけてきたなら、結構いい条件の相手だと思うよ」