「あ、開けやすいですね」


「うん。きれいに開けられていいね」


志田課長が満足そうに頷く。


「で、こちらが外箱で、候補がちょっと多いのですが、業者が五種類も作ってくれまして、この中から選んでもらえたらいいかと思います」


「ほお、いろいろあるね」


「すいません、失礼します。志田課長、神田さんが来社されましたけど」


志田課長を田辺くんが呼びにきた。


「ああ、忘れてたよ。2時に約束したんだった。仕方ない、行くとするか。萱森さん、あとは頼むよ」


志田課長が小走りで販売課に戻っていく。あ、待って…置いてきぼりの私は恐る恐る伊藤さんの顔を見る。嫌な顔で笑ってる…。この人を1人で相手したくない。


「ちゃんと1つ1つ見てね。なんか疑問があったら、どうぞ」


このまますぐに販売課に持って帰りたかった。なのに、1つ1つをここで見る?この人の前で?


「はい…」


一番右にあった箱を持ち上げる。薄い黄緑色で、柔らかい不織布に覆われている。