「俺が香奈と別れたって、言ったら、葵が泣いた。ははっ、ショックだったんだよな」


お兄ちゃんがまた頭を撫でる。


「あらあら、別れちゃったの?あはは、まあ…仕方ないことよね。別れるものは別れるんだから。ちょっと孫の顔を見れるのが遠くなっちゃったけど、仕方ないわねー。次、頑張りなさいよ」


まるでテストの点が悪かったことを励ましているかのようだ。


「あはは、次は頑張るよ」


彼女探しに頑張るのかな?

笑うお兄ちゃんとお母さんを見ていたら、泣く自分が馬鹿らしく思えてきた。


ダメだったら、次に頑張ればいい。お母さんはいつもそう言って笑った。だから、私たちはわりと逞しく育ったのかな。

お兄ちゃんは次にどんな恋愛をするのだろう?すぐには無理だと思うけど、今度こそ幸せを手に入れて欲しい。妹なりの兄への願いだ。

ブタさん、お兄ちゃんを幸せにしてあげてね。

ブタの置物は自分の部屋のチェストの上に置いた。お兄ちゃんの幸せを願って。