「萱森さんかと思ったのに」


「そう簡単に葵の肩を貸さないですよ。俺の肩じゃ不服ですか?」


「田辺の肩で目覚めるのは良い気分じゃないぞ」


「ははっ、確かにね。じゃ、寝なければよかったのにねー」


田辺くんは日頃の反撃なのか嫌みを言う。案外、この二人は似ているのかもしれない。



「俺は、会社寄ってから帰るけど、二人は直帰していいよ。お疲れさま」


「はい、お疲れさまでした」


「もう7時になりますよ。1人で大丈夫ですか?何か手伝えることがあるなら、私も…」


私に出来ることがあれば手伝いたい。藤沢さんも疲れているだろうから早く休んでもらいたい。


「萱森さんは優しいね。ありがとう。でも、少し確認することがあるだけだから大丈夫だよ。そんなに遅くならないから。じゃ、お疲れ様」


「お疲れ様でした」


新幹線の改札口を出て、別れた。


「相の森」でバウンドケーキをお土産にともらった。家に帰って、お母さんとお兄ちゃんと食べよう。お兄ちゃん、帰っているかな。