「はやぶさ商事さんには志田さんの時から本当にお世話になっているんで、出来るだけご要望にはお応えしたいとは思うけど、販売は現状で満足しているんだ。作り手の勝手なこだわりなんだけど、分かってもらえているから安心して任せられるんだよね」


マスターは隣りに座る奥さんに同意を求めるかのように話す。奥さんは優しく頷いた。

裏に工房があって、そこでバウンドケーキとマドレーヌを中心にした洋菓子が一つ一つ丁寧に作られている。今日は休みなので誰もいないけど、工房を見せてもらった。中に入るとふわっと甘い香りに包まれた。

今年の冬のギフト商品として、バウンドケーキ詰め合わせを相談をする。

「では、この三点を小島社長に話します」


通常販売されている大きさでのバウンドケーキ三種類詰め合わせと、通常の3分の1の大きさのバウンドケーキの五種類の詰め合わせと、人気のバウンドケーキ二種類とマドレーヌ二種類の詰め合わせの三点をサンプルとして作ってもらうことになった。