「葵、そのブタ、なに?」


藤沢さんからもらったブタは私の手のひらの中にいた。見ていると心が和む。うん、癒し効果ありだな。


「ねえ、かわいいでしょ?」


「かわいいけど、わざわざ持ってきたのか?」


田辺くんが唖然とした顔をしているけど、いくらかわいいからといって、出張にブタは持ち歩かない。


「俺がお土産であげたんだよ」


「え、お土産?俺にもくださいよ。お土産なんてもらってないですよ。どこ、行ったんですか?」


「はあ、お前にはないよ。実家に帰っただけなのに、あるわけないだろ」


「えー、実家に帰っただけなのに、何で葵にはお土産があるの?俺にないなんて、有り得ない」


田辺くんは納得出来ないと口を尖らせた。


「ブタが萱森さんに似ていたからかな?」


「プッ!」


「えー、ちょっとひどくないですか?ブタに似てるなんて」


細くはないけど、ブタに似てると言われるほど、太ってもいないはずだ。自分の頬の肉をつまんでみた。