どこに座るのかな。私は藤沢さんの動きを目で追った。


「ねえ、萱森さん、あっちに座ろうよ。外が見える」


「え？あ、うん。いいよ」

里中さんに連れられて、窓のテーブルに窓の方を向いて、並んで座る。藤沢さんは、まだ席についていない。こっちに来てくれないかな。


「ブラインド、開けてもいいですか？」


里中さんが北村さんに了解をもらって、ブラインドをあげる。


「うわー、すごい！」


「ねえ、そうでしょ？ここから見える景色は絶対にいいと思ってたのよ」


ここは、地上10階。ものすごく高くはないけど、程よい高さであって、そこから見える景色に目が奪われた。それほど近くはないけど見える海がきれいだ。

２ヶ月前に見た沖縄の海には到底敵わない都会ならではの景色だけど、これはこれで素敵。


「ここから見える景色は会社の自慢の1つでもあるんだよ。東京の海だから、きれいとは言えないけど、今日は天気が良いからきれいに見えるね」