「何で逃げようとするの?嫌?」


嫌ではないけど…

「はい。困るので離して…」


「嫌だね。離さない」


「ええ?そんな…意地悪…」


私が落胆すると藤沢さんは楽しそうに今度は指を絡めてきた。もう心臓が限界だ。

寝たふりでもしてしまおう。目を瞑れば落ち着くかもしれない。

降車駅まであと4駅。


コテン…

ん?…え?

肩に重みを感じた。

藤沢さんだ!頭が私の肩に乗ってきた。少し顔を横にずらした。目を閉じている姿が確認できた。

何で…まさか、寝てしまったの?

頭も手も私から離れない。降車駅まで私は動けなかった。藤沢さんはどういうつもりで手を繋ぎ、手を絡め、肩にもたれてきたのだろう。

降車駅が近付くまで私は硬直していた。あー、疲れる…。肩が凝ってきた。


「藤沢さん、もうすぐ着きますよ」


繋いでいる手を動かして起こす。