「そうかー、結婚するにもいろんな段階があるものね。これから大変だろうけど、楽しそうだよねー」


私には未知な世界だから、なんの想像も出来ないけど、一番好きな人と暮らすのは絶対に楽しいことだ。


「なんか、葵がいろいろ悩んでいるというのにごめんね」


「えー、なんで謝るのよ?友香が結婚するのは私も嬉しいよ。絶対に幸せになってね!」


「ありがとう」と笑う友香はきれいだった。友達が幸せになるのは、私としても本当に嬉しい。


友香とは路線が違うから、駅の改札を通ってから別れた。友香のことはお兄ちゃんにも報告したいな。もう帰っているかな?

帰っているか確認するためにスマホをバッグから取り出したその時…


「おっと、葵ちゃんじゃない?」


すれ違い様に誰かが腕を掴んできた。危うくスマホが落ちそうになった。危ない…。誰よ?


「あ、えっと…山口さん。こんばんは」


腕を掴んできたのは、お兄ちゃんの友達のがっしり体格の山口さんだった。