このままにしておけないので、掛け布団を取りに行く。お兄ちゃんはその間にバスルームへ消えた。意外に薄情者?

お兄ちゃんの部屋にお母さんが藤沢さん用にと布団を敷いてくれていたので、それを持って階段を下りる。


「藤沢さん…」


布団を掛けたけど、もしかしたら、起きるかな?ともう一度声を掛ける。


「ん?」


「うわっ!」


目がパチッと開いたから、私は尻もちを付きそうになった。藤沢さんの目がゆっくりと動く。今いる場所を確認しているようだ。


「起きました?大丈夫ですか?」


「ここ、どこ?」


「私の家です。潰れてしまったので…2階まで歩けますか?お兄ちゃんの部屋に布団が敷いてありますよ。あ、お風呂入ります?今、お兄ちゃんが入ってるから、出たら…」


藤沢さんは体を起こして、腕時計を見る。今度は時間の確認かな。


「11時半か…」


まだ電車は動いているし、帰ろうと思えば帰れる。帰りたいのかな?