「明日の準備がまだかかるから、無理だよ。誰か他の人と行って」


「えー、幸紀と行きたかったのに。どうしても無理?ねえ、行こうよ」


甘える声を出し、藤沢さんの顔に自分の顔を近付けていた。まるでキスをねだるような顔をしている。


「悪いけど、あと二時間はかかるから無理」


小島さんは少し頬を膨らませて、唇を尖らせた。かわいく見せるためだろうか?小島さんを見ていると嫌な気持ちが膨らんでくる。早く帰ってくれないかな。


「仕方ないね。ちゃんと埋め合わせしてよね。今日はお母さんを誘ってみるわ。お母さんも食べたいって言ってたから。じゃあね」


何度言っても無理だと分かるとあっさりと引き下がった。スマホを操作しながら、出ていく。きっと母親に連絡しているのだろう。


「ふぅ。萱森さん、どこまで終わった?」


「あ、全部入力は終わりました」


「サンキュ。ちょっと待ってて。このあと、資料室に行ってカタログとか用意するから」