いつ見ても忙しそうだ。こんな私でも役に立てるなら何でも手伝いたい。


「藤沢さん、終わりました」


「ああ、遅かったな」


「先に使ってる人がいたんですよ」


コピーを終えた田辺くんが戻ってきた。私も入力が終わる頃だった。


「じゃ、お疲れさま」


「すいません、お先に失礼します。葵、悪いけど、よろしくな」


「うん。歯医者、頑張って」


予約は入れたものの歯医者が苦手だと田辺くんは言っていた、でも、治療しなければならないくらい痛むらしい。


「幸紀ー。あら、萱森さんがどうしてここに?」


うわ、現れた。一番怖れていた人物だ。小島さんが敵意の満ちた目で私を見る。何も言い返せないから、パソコンの画面から目が離せなかった。

知らんぷりしよう。


「ああ、田辺の代わりに手伝ってもらってるんだ」


「そうなのね。ねえ、今日はエスニックが食べたい気分なの。行こう!」


うわ…、やっぱり強引な人だな。人の都合とか聞かないのかな?見るからに仕事しているのに。