私は必死に走って家に向かった。
だって、涙がとまらないんだもん
どうして魁斗は麻友さんを抱きしめてたの?
おかしいよ…
魁斗はまだ麻友さんが好きだったの?
わかんないよ…
もう魁斗がわからんない
何考えてるの?
私がいるときもいつも麻友さんのこと考えてたの?
けど、私は魁斗のこと愛してる。
愛してる人には、幸せになってほしい。
だから、私はこの選択肢を選んだんだよ?
魁斗。
俺は今日日直で、今は放課後の日直の仕事をしている。
今日の日直は俺一人だから、仕事の量も多いし、ららには先に帰ってもらった。
あんがい日直の仕事は早く終わって、帰ろうとした時
「魁ちゃん…」
…ん?どうして…
「どうして麻友がいんだ?」
「あのね…
魁ちゃんの彼女さんがね、魁斗のことなんか好きじゃない。しかたなく付き合ってるだけだっていってたの…
だから、私、魁ちゃんがかわいそうでしかたがなくて…」
そんなことを泣きながら言ってくる麻友。
ららがそんなこと言ったのか?
言ってねえよな?
けど、付き合ったきっかけは俺が一方的にアタックしたからだ。
だから、そんなことが絶対ありえねえことじゃねえ。
「嘘つくなよ…
俺はららしかいらねえ」
俺は小さく呟いた
次の瞬間、麻友は大声で
「魁ちゃん、今でも好きなの。」
そう言って俺に抱きついてきた。
「離せよ…」
俺は麻友に離すことを要求する
すると麻友は耳元でそっと
「魁ちゃん、抱きしめかえしてよ」
「俺はららだけだから。」
「じゃあ彼女さんに何してもいいんだね?
私何するかわかんないよ?」
…麻友何考えてんだ?
明らかにおかしいだろ…
ららに迷惑かけるのはぜってえやだ。
俺はしかたなく、麻友をそっと抱きしめた。
抱きしめる相手はららじゃねえと、なんも感じねえ
ドキドキもポカポカもなにも感じねえ
俺はほんの数秒麻友を抱きしめて離した。
そして麻友はなにも言わずに帰っていった。
今思えば、どうして麻友の嘘なんか信じたんだろうな。二つも。
ららがしかたなく付き合ってるって言ってたこと。
抱きしめたら、ららに嫌がらせしないこと。
俺はららのこと守る資格なんてなかったんだな。
次の日、私は魁斗を屋上よびだして別れを告げた。
明らかに動揺している魁斗。
自分がしたことぐらいわかってよ…
「じゃーね?
もう、恋人なんかじゃないからね?
魁斗は幸せになってね…?」
そう言って私はすぐに教室に戻った。
私のことを何度もよぶ魁斗を無視して走り続けた
あふれそうな涙をこらえながら。
魁斗と別れてから一ヶ月経った。
はあ…
毎日お決まりごとのようにでるため息。
心にぽっかりと穴が開いた感じで、なにも頭に入ってこない。
どうしてあんなことしてたの?
私のこと好きって言ってくれたの嘘だったんだね…
思うのはいつもそんなことばかり。
「もー、そろそろ機嫌なおしなよ。
新しい人探すのもいいと思うよ?」
真夏が私にそう言う。
そんなのできるわけないじゃん…
「私が好きなのは魁斗だけだよ。」
「そっか…」
それからは真夏もなにも言わなかった。
魁斗はクラスが離れてるけど、今思えば、私のクラスの前によく通ってたんだなと思う。
火曜日の美術の授業の前のお昼休み。
水曜日の放課後、委員会の仕事でこの前を通る時。
もっとたくさんあるけど、今思えばこんなにもあるんだなって
付き合ってる時、いつも魁斗から私をみつけて声をかけてくれた。
いつも先にきづくのは魁斗。
なのに今は私の方がはやく魁斗の存在に気付くんだな。
私が魁斗のことをどんどん好きになっていくにつれて、魁斗は麻友さんのことをどんどん好きになっていくんだろうな。
そんなことを考えていると、涙が溢れそうになってきて…
あふれそうな涙を必死に堪える
魁斗はきっと幸せになってるよね…
だって魁斗は麻友さんのことが好きだもん
じゃあどうして私に付き合おうなんて言ったの?
いくらからかいたいからってひどいよ。
私が初めて恋をして、両思いになって、とても幸せだったのに。
はあ…
本当に未練タラタラ。
裏切られたのに…
魁斗を嫌いになれないのはなぜ?
それは本当に愛してるからなんだ。
あっとゆう間に放課後になり、私は帰る用意をする。
…今日も真夏は拓也くんと帰るみたい。
「じゃーね!また明日!」
「うん!
明日は一緒に帰ろうね!」
真夏と挨拶をかわして、教室をでる
二人で帰ってた時はあんなに楽しかったのにな。
別れてからもずっと魁斗の事考えてばっか、
ほんとばかみたい
今日はもう少し駅でぶらぶらして帰ろっかな。
私はカフェによって、コーヒーを飲んだ。
帰ろうとした時