「あの~…
桜井結花さん、よね?」



失礼にも、私はそのヒトのことを随分凝視してたらしい。
いつの間にか目の前にそのヒトの顔があった。




はっと我に返り

「あ、はい…」

恥ずかしさを隠すために下を向きながら返事をしたので
言葉の最後のほうは、声になっていなかったと思う。






「よかったわ~」



その不思議なカッコのヒト
(長いので以下カノジョと呼ばせてもらおう)は
たいして私の行動を不審に思わなかったようで、
私の手を取ると

「人違いだったらどうしようかと思ってたの。
だってね、写真もないし、
高校生の女の子としか、聞いてなくって~。


でも、やっぱりね~。
アナタだと思ったのよ。
だって、ワタシの中のイメージのアナタ、そのものだったんだもの」


そう言うと、ニッコリと微笑んだ。