普通、人というのは、
誰かが横を通ればなんとなく気になるものだ。


それに、カノジョのカッコはかなり目立つ。
この場にはあまりにも不似合いすぎる。





なのに―





歩いている私たちに気付く人が一人もいない。
普通なら、ありえない。





いつもの私ならきっと、そのことが気になってしかたがなかったはず。





でも―




私は、そんなことはどうでもいいというように、
カノジョの後を追って走るように歩き出した。








なぜなら―








予感というのだろうか。

言葉では言い表せないような不安が、胸に広がっていたから。