私は保健室からグランドへ急いだ。サッカー部の試合が来週から始まるのでみんな緊張感がある。そして亮君はサッカーしている姿が一番似合う!






「それじゃぁ少し休憩しよう。」






「はい!」






(おい聞こえるか?)






(え?未来の俺?…ちょっと待ってて!)






「翔太先輩!すみません!」






「どうした。」






「すぐ戻るので少しだけ抜けさせてください!」






「ああ。分かった。早く来いよ。」





「はい!」






俺は人がいない体育館の横に来た。






「おいどうしたんだよ!いつも大事な話の時しか話しかけないお前が話しかけてきたということは何かあったのか?」





(ああ。今そっちに霧野奈実という子はいるか?)








「え?いるけど。」








「その子おかしな事言っていなかったか?例えば学年とか。」






「あー言ってた。」






(やっぱり…いいかよく聞いてくれ。)






「やっぱ何かあったのか?」






(こっちにいた筈の奈実が居なくなった。そして他の人は覚えているのに俺だけ覚えていない。つまり、どういうことが分かるか?)






「いや、分かんねーよ!」






(つまり、現在にいる奈実が未来に行ったという事だ。そして、現在にいるはずの人間が居なくなったらどうなるか分かるか?奈実自体いない事になってしまうんだ。俺らの記憶から奈実は消えてしまう。)






「え?じゃあなんで過去に居るはずの奈実がこっちにいるんだよ!」






(それはわからない。だが、未来に行ったという事は必ず過去に戻れるはずなんだ!)






「いや、戻ってもらわないと俺が困る。俺は…」






「とにかく、こちらも帰れる方法を探してみる。あとは頼んだよ。」






「あと1つ!」






(何?)






「未来の奈実はどうなったの?」






(いない事になっている。つまり、未来にいるはずの奈実は消えたということだ。ごめん。もう無理だ。あとは頼んだよ。)






「おう。」






俺は今の話がよく分からなかった。だって奈実が消える?しかも今ここに居る奈実が過去の人?どうなっているんだよ!…なんか頭痛くなった…






「あ…部活に戻らないと…」






俺は部活に戻った。けど、蹴っても蹴ってもシュートは入らなかった。






「どうしたんだ?どっか行ったと思ったら帰って来て、シュート1本も入らない。告られたのか?」






「赤城先輩。違いますよ。それに俺には好きな人がいますし…」






「お!それは?」






「赤城、大会近いんだ。ふざけていられない。亮…もっと集中しろ!お前がシュート外すくらい何か大変なことはわかった。でもな、その調子で試合までずっと入らなかったらどうする。お前はこのチームのエースだ。自覚しろ。」






「はい、すみませんでした。」






私はいつもと違う亮君に違和感を覚えた。






「どうしちゃったんどろう亮君。」






それからしばらく時間が立ち、部活を終えた。






「ありがとうごさいました。」






私は亮君に話しかけてみた。






「亮君!あのさ…」






「奈実…話があるんだ。一緒に帰らないか?」






「え?う、うんいいよ。!でもまだ少し仕事が残っているから…」






「いいよ。待ってる。」






「うん!わかった!」






えー!ちょっと!ついに亮君と一緒に帰る日が!…でも、話ってなんだろう?






私はこの時、あんなことを言われるなんて思っても見なかった。そして、この日から二人の人生が大きく変わるのだった。