「私のために、無理したんだよね。」 「ごめんなさい、本当にありがとう。」 電話で巴に言われた言葉を思い出す。 ―――由奈が嫌なことを思い出さないようにって、雄也さんを探していたの。 その怪我はその時に刺された傷。 思い出すだけで、涙があふれそうだった。 「もう、安心していい。」 仁が私に寄り添うように抱きしめる。 それに返すように抱きしめ返す。 仁と出逢えてよかった。 仁を好きになってよかった。