「それでいいと思うよ、俺は。」
「え?」
「ただ俺は覚悟を決めなよって、言いたかっただけだから。」
否定されると思っていたので、思わず素っ頓狂の声を上げる。
颯斗は笑って、私の頭をくしゃくしゃする。
「確かに……喧嘩しろっていうお姫様より、喧嘩しないでっていうお姫様のほうが、断然いいしな。」
そう言って、颯斗は部屋から出ていく。
私を思っての優しさが伝わって、心が温かくなる。
「顔を洗って来い。」
朔は私にタオルを差し出して、洗面所の場所を指す。
今思えば、泣きすぎて顔がくしゃくしゃだ。
きっとみっともない顔をしてるんだろうな、鏡を見なくても分かっちゃう。