「辛かったな。」




そう言って、私の髪の毛をクシャとした。





「えっ、ちょ、髪が・・・。」





私は急いで、髪の毛を整える。



焦りながら髪の毛を整える私を見て、仁さんはふんわりと笑った。






「笑わな――ピリリリッ





着信音が響く。



私の携帯からだった。



誰かとか、確認しなくてもわかる。




家からなんてありえない、友達なんていない。




私に電話をかける人なんて、一人しかいない。




頭の中が真っ白になる。



そして、足から震えだす。