ガンガンと鈍器で殴られたような痛みがする。
収まっていた吐き気が、また始まりだす。
「…吐きそう。」
「大丈夫かよ、本当に。」
真剣な表情で、私の顔を覗いてくる。
そんな顔もゆらゆらと揺れて、上手く焦点が合わない。
どんな顔をして見てるのかさえも、分からなくなってくるほどだった。
「家、近いか?」
「…う、ん。」
振り絞って出てきた声は、かすれて聞き取りにくいものだった。
そんな私を軽々と抱き上げて、世間で言うお姫様抱っこをする。
どっち?と聞いてくる朔に指で方向を教える。
歩くたびにゆらゆらと横に揺れる、それが妙に心地よく感じた。