「何したいんだよ。」
「私だって悩みがあるの、怒るときだってあるの、一人になりたいときもあるのっ。」
「私は何でも、仁の言う事を聞かないから。」
ドアを開いて、走って外に出た。
上がっていく階段で少しだけ、足を止め振り向くと誰もいなかった。
分かってた。
仁が来ないことなんて、分かってた。
そう願って、駄々こねてまで言い張った…けど、虚しく感じる。
八つ当たりして、仁を傷つけて、皆にも迷惑をかけてしまった。
「愛想つかしちゃったよね。」
私なんか愛想をつかされたに違いない。
ただでさえ喧嘩も出来なくて、お手伝いなんかも出来なくて…
助けられるしかできないのに。
大きなため息をついて、家までの帰路を歩き出した。