あと少しで、唇が触れそうになる。






―――「ピリリリッ」





いきなり仁に電話がかかってきて、二人の動きは止まった。




私は目を開けて、仁の顔は離れる。



ものすごく、タイミングが悪い・・・。






「はぁ~・・・マジで、邪魔だな。」






仁は怒っているような口調で、なり続ける電話に出た。






『もしもし、俺。』





電話の向こうから聞こえてきたのは、紛れもなく新の声だった。



そして、真崎と思われる笑い声も聞こえてきた。






「なんだよ、邪魔すんな。」




『付き合ったんだ、俺って恋のキューピットだな。』






仁の眉間に、皺が寄っていく。



けれど、新の声は明るくて、とても楽しそうな声。





「で、用事は?」



『ない。』





その瞬間、仁は電話をすぐに切った。