仁の唇が離れると、仁は小さく笑った。






「泣いてるし、顔真っ赤。」




「だって・・・嬉しいんだもん。」






仁の胸板に顔をうずめると、次々と涙がこぼれた。



そんな私の頭を仁は、優しくなでた。



嬉しくなって、抱きしめる腕の力をもっと強める。






「嬉しいけど、二股は嫌・・・。」






私は、白石ちゃんの事を思い出して、抱き着く腕を離した。



仁の顔をのぞいてみると、仁は首を右に傾けている。






「二股・・・?なんだそれ。」



「えっ、だって白石ちゃんと。」



「付き合ってねぇよ、好きな人は由奈だけ。」






誤解を解きながらも、さりげなく嬉しい言葉を言う仁。



そんな言葉がまた私をドキドキさせて、舞い上がらせる。



仁の言葉は、まるで私を幸せにさせる魔法みたい。






「仁、好きです。」




「知ってる。」





仁が私の腰に腕を回した。



今日怪我したところに、ちょうど触れて痛みが走った。