いつもより堅くなな拓弥に
奏来はうぅと唸る。
「なんで!
裏切り者!ろくでなし!
期待してたのにぃ....!!!!」
駄々を捏ね、暴言を吐く
奏来を引き摺る様に
今度こそ出口に向かい、
少々乱暴に扉を開け、
少々勢いよく一歩踏み出した。
のが失敗だった。
ドンッ
バサバサバサ....
「わ、ごめん!」
少々勢いよく飛び出した先に
運悪く図書室に入ろうとした
女の子がいて....
その女の子は、
運悪く大量のプリントを
抱えていたようで。
それは最悪なことに全て
女の子....奏 月夜(かなで つきや)の
手元から落ちていったのだった。
そして上の拓弥の発言に戻る。
引っ張っていた奏来の腕を
ぱっと離し、
(その反動で奏来は
バランスを崩し転びかけた)
爽やかなオーラを振り撒き
ぶちまけたプリントを
手際よく集めると
いまだぼーっとする月夜に
差し出した。
「はい、奏さん。
どこも怪我、してない?」
拓弥が話し掛けると
月夜ははっと気付いたように
目をすこし開き、
物凄い勢いで斜め下に顔を動かし、
「あ、いえ、その、け、...」
「うん?」
拓弥が首を傾げながら相づちを打つと
息をのみ、耳まで紅くしながら
蚊のなくような声で
返事をした。
「け、怪我は、して、ません。
ぷ、リント、あり、
ありがとうございます...っ。」
そしてほぼ直角か、というほど
お辞儀をしてプリントを
受け取ったのだった。