その何の変哲もない一日が、きっとしばらくは忘れられない日になった。

いつものように学校を終えて家の車に乗って普通に家に帰った。

すると、お父様に書斎に来るように、と言われた。

いつもはリビングで話すのに、珍しいなあと思ったけど特に疑いもせずに書斎へ向かった。

コンコンコン

「お父様、凛華です」

「入りなさい」

つかつかとお父様の座る、部屋の中央にあるデスクに向かう。

そして、目の前にある柔らかなソファに座った。

「凛華、今から言う事は、よく聞いてくれ」

お父様は、いつになく真剣な顔で話しだした。

「凛華、お前には婚約者を選んでもらう」

……。

空耳かしら?

「お父様、もう一度お願します」

「お前には4人の人の中から婚約者を選んでもらうんだ」

どうやら空耳じゃないらしい。

いつかはそうなるだろうとは思っていたけど、予想以上に早かったな。

「その4人と言うのは?」

「お前の学校にいる人たちだ」

えっ。

同じ学校から?

なんか気まずいじゃん。

「で、これらがその方たちだ」

そう言って見せられたのは……。

なんと、ムーンボーイズの4人だった。

「今の時点ではどの人がいいか?ちなみに父さんはな、この人が良いと思うぞ?」

お父様は放心状態の私そっちのけで選びはじめた。