「凛華ちゃん……」

あたしを見た途端、郁君も悲しそうな顔になった。

ああ、あたしのせいで郁君に悲しい顔させちゃった。

あたしは急いで涙を拭こうとした。

だけど。

ふわっと郁君に抱きしめられた。

郁君、そんなに身長あたしと変わらないと思ってたけど意外と大きいんだね。

「凛華ちゃん。何でも1人で抱え込まないで。俺たちを頼ってよ」

郁君の凛とした声が響く。

あたしはその言葉に安心して更に泣きじゃくってしまった。

その間も郁君はずっと優しく抱きしめていてくれた。

しばらくして泣きやんだ。

「ありがとう、郁君。もう、大丈夫だから」

そう言って体を離した。

……つもりだった。

「ちょ、ちょっと、郁君!?」

郁君は体を離すどころか更に私を抱く力を強くした。

「郁君……離し……」

「やだ。離さない」

郁君は断固として譲らないといった雰囲気。

私はしょうがなくまだ抱きしめられていた。

しょうがなく……じゃなくてされるがままに、だね。

「ふーっ。そろそろ充電完了したかなぁ」

ふいに郁君がそう言って体は離された。

じゅ、充電??

「凛華ちゃん可愛すぎてもう困っちゃうなぁ」

「な、何言ってんの⁈そ、そんなわけないよ‼︎‼︎」

そんなお世辞言わないでよ……。

あたしだって女の子だから勘違いしちゃうからね。

あたしは熱くなった頬を抑えながら郁君と屋上を後にした。