ガラガラ、バタン。

その女が出て行った瞬間、怒りが込み上げてきた。

灰田佳奈。

高3。

私立彩香学園に通っている。

そもそもあの女が入学してくるまではあたしの学校生活は平和だった。

毎日男の子から告白されて。

周りからは「可愛いね」って言われて。

本当に楽しかった、良い感じだった。

なのに。

東城凛華。

あの女が入学してからはあたしなんてその他大勢の生徒になった。

学校のどこにいても聞くのはあの女の名前ばっかり。

あたしの名前なんて一文字も出てこない。

「なあなあ、知ってる?東城凛華ちゃん!めっちゃ可愛いって噂だぜ!」

「俺も知ってる!見に行こうぜ!」

ああ、うるさい。

東城凛華、東城凛華って。

あたしの事、みんな忘れちゃったの?

告白だってなくなって、周りもあいつの話ばっかり。

もうひとつむかつくのは……。

あたしの片思いの相手。

道田郁君。

郁君と東城。

仲がいいらしい。

実際に、教室で2人が仲よさそうに話してるのを見た事がある。

あいつ……。

何よ。

調子乗ってんじゃないわよ。

とうとう怒りが頂点に達したあたしは、あいつへの復讐を考えた。

そして今呼び出して忠告した。

きっと先輩には逆らえないだろう。

そう思ってたのに。

あいつは涼しげな顔であたしたちを一蹴して帰っていった。

むかつく。

むかつく。

むかつく。