つぎの日。

いつものように車に乗って登校するけど、気分が重くてしょうがない。

「あの席…ホントやだ…」

なんであの席なの…。

もう何度も問いかけたけど答えが出てくるわけもなく。

とにかく何も起こらない事を願うしかなかった。

「おはよー」

「お、おはよ…」

「朝からテンション低いね、凜華」

「当たり前でしょ、あの席なんだもん」

「まぁそりゃそうだよねぇ」

「まぁ話しかけさえしなければ何も無いって!」

「そうだよ!ずーっと黙ってればいいよ!」

梨央奈とビアンカが励ましてくれるけど…。

正直言って、家に帰りたい。

と、その時。

「きゃぁぁぁぁぁ!」

と教室の前の方で歓声が挙がった。

「凜華、変に意識しないようにね!」

「あたし達、時間だからもう席戻るけど、なんかあったら言いなね!」

そう。

もうすぐに朝のホームルームが始まるって言うのに、その歓声はだんだんと近づいてくる。

「おーっはよ!凜華ちゃーん」

来た!

最悪…。

まさか朝のおはようまでされるとは思ってなかったから油断してた。

「え、あ、お、おはよう…」

今言ったのは…道田郁…だっけか?

もう四人もいると誰が誰だかわからない。

「おはよう、凜華ちゃん」

これは…内田大和?

「おはよう、凜華」

何このいきなり呼び捨てのやつ。

あ、桜庭怜音…かな?

「んっあー眠い…。あ、おはよ」

そして坂田遥希。

もう、朝からやめてほしい。

かなり嫌な顔をしながらホームルームが始まった。