『もうすぐで委員会終わるから、もうちょっとだけ待ってて~!』
そのメッセージと一緒に『ごめんね』とお辞儀をする野々花が好きなクマのキャラクターのスタンプが送られてきた。
野々花は昨年に続いて今年も風紀委員会に所属しているため、あたしも野々花の委員会が終わるのを待つのも2年目になる。
わたしは委員会には所属せずに、クラスの雑用係だから野々花のように放課後に集会に参加することはまずない。
……というか、委員会中なのにスマートフォンを弄ってて大丈夫なのかな。
「麻虹ちゃん、まだ帰らなくて大丈夫なの?」
あたしはスマートフォンに表示された野々花とのトーク画面をケイちゃんに見せる。
「野々香の委員会が終わるまでここで待つから、それまで残ってるよ」
「そっか。じゃあ、帰りにみんなでなんか食べ行こうよ」
「わっ、いいね。 何食べる?」
そう言うと、ケイちゃんは「どうしようかな〜」と言いながらスマートフォンでお店を探し始めた。
ケイちゃんは美味しいものには目が無くて、女子のあたしでも知らないような可愛いお店の情報を仕入れて来ることがある。
きっと、仲のいい女の子たちが情報源なのだろうけど、色々と詳しくて驚かされることが多い。
以前、ケイちゃんが教えてくれた駅裏の路地にひっそりとあるケーキ屋さんに野々花と行ってみたけれど、それがとびきり可愛くて美味しくて、思わず家族に買って行ったくらいだった。
「ごめん~!結構待たせた?」
そのとき、委員会を終えた野々花がプリントの入ったクリアファイルを持って教室に戻ってきた。
急いで来たせいなのか少し息が荒い。
「野々香ちゃん、委員会お疲れさま~」
ケイちゃんが可愛い笑顔で言うと、野々香はあからさまに嫌そうな顔をする。
「なんで水谷までここにいるのよ」
「野々香ちゃんが委員会から帰ってきたら、4人で美味しいもの食べに行こうって話してたんだよ」
そう言ってケイちゃんは、あたしに向かって「ねー!」と小首を傾げて言う。
その可愛い顔にあたしは思わず頷く。
けれど野々花は、呆れたような表情で小さく溜息を吐いた。