後ろからもうひとつのチョークを持った手がのびてきた。

血管が浮き出てるからきっと男子だ。
あたしの背中にピタッとくっついて。

「キャッ」

と小さく漏れた女子たちの声と

「カツカツカツ…」

黒板に文字を書く音が教室に響く。

スラスラと難問の数式を解いてゆくこの後ろの男子。

きっとあいつだ。
あいつ。