あくる朝 何事もなかったように


平然を装う徹・・・


桜子は まだ何ともいえない脱落感に苛まれていた


たまに起こる桜子の様子に


そんな日は 普段以上に


優しく接する徹であった。


「アナタ・・・」


「何も言わなくて良いよ・・・
育児 子育てで君は疲れてるんだよ・・・
今日はゆっくり 休みなさい」


「違うのアナタ・・・私・・

過去を思い出さなくてもいい・・・

でも・・・せめて・・・アナタと出会った時だけでも

思い出したいの!」


桜子の言葉に また豹変する一歩 手前の徹の顔つきに


一瞬 桜子はドキッとした


その瞬間 徹も我に戻り


「だから・・・いつも言ってるじゃないか・・・

君は一種の病気で 今は 思い出せてないが

必ず 思い出せるし・・・

二人が出会ったのも


運命的な出会いだったんだよ・・・


君が僕に一目惚れをして


ストーカーのように


僕に付き纏って・・・


でも 今は逆に 僕の方が


桜子に惚れこんでるからね・・・」


ニッコリ微笑みながら言う徹の眼差しに


桜子は偽りはないと信じ


それ以上 何も言う事はしなかった。