《 金曜日の朝 》


約束の時間に待ち合わせ

富美子と桜子は田渕の病院を訪れた。


足立は既に病院で待っていた。


別室でみんなは顔を合わせ


挨拶をし 先に催眠療法の前に母親の話しを聞く事になった。


出版社で働く富美子は


資料を丁寧にまとめ足立と桜子に渡した。


「まだ 調べてる段階ですが

今日まで分かった事 全て書いてます・・・


今・・・父親の安西 守が

再婚相手の安西 早苗を

調べてますが・・・

その方が再婚相手の安西早苗さんです」


資料の中に写真が同封されていた。


「これは・・・」


足立はその写真を見て


絶句した。


資料の中に安西早苗の事が書かれていた。


「旧姓 広崎早苗・・・」


足立の動揺にみんなの視線が足立へ向けられた。


「ご存知なんですか?」


富美子が足立に言った。


足立は言いにくそうな面持ちで・・・


「元カノです・・・」


「元カノ・・・?」


みんなが驚く中で富美子は冷静に質問してきた。


「いつ頃の話しですか・・・?」


足立は記憶を思い出すかのように 頭を抱え・・・


「七年前・・・?八年・・・?七、八年前に別れました・・・」


「世間は広いようで狭いのね・・・八年前って足立くん アメリカへ行ってた頃じゃない・・・」


院長の田渕が言った。


「そうなんだ・・・アメリカ行く前に別れて・・・」