桜子は完全な記憶がまだ


戻っていない為 母親と


言われても 直ぐには

お母さんとも言えず

言葉を選びながら話していた。


あれから 徹は携帯を買ってきて 桜子に渡していた。


自宅の電話では 晴子が

また 聞き耳をたてるかもしれないと


察した桜子は二階へ上がり携帯で話し始めた。


「桜子・・・アナタの五年前の事 だんだん見えてきたの・・・

近いうちに話しをしたいんだけど・・・」


「そうなんですか・・・?

あの・・・私も 今 催眠療法をしながら過去の記憶を思い出しつつあるんです・・・」


「そうなの・・・それなら 話しは早いわ・・・

あちらこちらからの情報で・・・桜子・・・

きっと 全て 思い出せるわよ・・・

じゃ・・・何時なら会える?」

「あの・・・今度 催眠療法する日で良いですか?」


「分かったわ・・・じゃ・・・また連絡してきて
桜子の予定に合わすから・・」


「ありがとうございます・・・」


「やね・・・桜子・・・畏まった言い方して・・・ アナタの母親なんだから・・・
遠慮しないでね・・・
絶対 助けるからね」


「母・・・さん・・・」


涙ぐむ桜子・・・記憶がなくても 何とも言えない温もりを感じる桜子であった。