「で、灰音。何でそんな回りくどい事してるんですか?真実だけをバッサリと言うのが君でしょう。」


「…………だって、嫌われたら嫌じゃん。折角もう一回会えたのに。」


「嫌われても仕方がないんじゃないですか?灰音の意思じゃないにしても、結果的には騙してたんでしょう?」





「事実は変わりませんからね」と。

強気からまた一転、絶望漂う灰音に言う先輩の顔は、爽やかなものだ。

爽やかな……ものだけど。

ブラックな奴らのブラックな微笑みに比べたら、まるで天使の微笑みだけれども。



何だかこの人、この状況を凄く満喫してないか?

しぼむ灰音からエネルギーを吸い取ったかのように、凄く生き生きしてる。

この人もしかしたら、なかなか厄介な愉快犯かもしれない。



そう思ってじっと見てしまったせいか、天真先輩と目が合った。



「初伊。」

「……はい。」

「貴女って、凄く興味深い人ですね。」

「どうも……?」



興味深いははたして褒め言葉か。

よく分からないけどお礼を言っておく。






「姫に、興味はないんですか?」




それは唐突な質問だった。

姫に興味はないか?と彼は問う。



そんなの……


「凄くありますよ?」


あるに決まってる。