「……初伊!」

「ひゃい!」




何故だか改まった調子で名前を呼ばれて。

突然の事に噛んだ。

真面目なシーンだったから、余計恥ずかしい。

顔がカーっと赤くなってくのを感じた。





向こうでクックっと聞こえる乾いた笑い声は夜白のだ。

目の端でにこにこ……いや、にやにやしてる美琴もいる。




……二人共、いつか噛んだら絶対笑い転げてやるんだから。


ていうか本当は仲いいんじゃないの?

心にいつか仕返しをする事を誓う。




更に私は気づいたんだ。

灰音を除く副総長ズに温かい目で見られている事を。



笑われるのも恥ずかしいけど、温かい目で見られるのもかなり微妙な心境だ。


やはり、うん。

人の失敗はスルーしてあげてね☆ってね。





話を戻そう。

灰音は、私に何かを伝えようと葛藤している。

多分凄く言いにくい事だ。

何でそんな事分かるかって?

口調からしてそうだし、さっきから綺麗な顔の額に深ーい皺が入っているからだよね。





「灰音、言いづらい事なら無理して言わないでね。」



何を言おうとしてるかは分からないけれど、人間、秘密や知られたくない事の一つや二つ、あるでしょう。




「騙していた訳じゃないよ。」




場の空気を少しでも和ませたいと、楽しい話題に変えようと思っていた時だった。

灰音がついに、葛藤の末に口を開いたのだ。