キタノフクソウチョウ。




その言葉は、私の中にはすんなり入ってこなかった。

当たり前だ。

あんなに綺麗な女の子が、橘やお兄ちゃんと同じく副総長だなんて、予想がつく方がおかしいよね。




女の子でも喧嘩が強くて、男だらけの連盟の副総長。

漫画では王道だ。

大好きな展開だが、女の子がムサイ男のヤンキーより強いなんて、現実味がなかった。

でも、本当にいたんだ!





「凄いね、灰音!格好いい!」




思わず手を握り締めてしめて、飛び跳ねてしまう。




だって、本当に嬉しくて!

リアルでそんな素晴らしいものを見せていただき、ありがとうございます!

おいしいです!おいしい展開です!




テンションが上がる私。

それを見て灰音は、何だか困ったような顔をした。



私は初め、それは私のテンションについて来れなくて灰音が困っている、そう思ったんだ。

だけど何だか様子がおかしい。




「あー、え〜と……うん、ありがとう。」


頬を掻き、苦笑い。

「ありがとう」なんて言ってるけど、それはどう考えても嬉しい時の反応ではなくて。



あ、もしかして、女の子にカッコイイはダメだったのかなと思った私は、「かっこよくて可愛いよ!」と言い直した。




結果:余計困惑していた。