何でだろう。

嫌われては……多分いないと思うんだけど……。

深層心理の中では嫌われてるのかもしれないね。





目が8つ。

あの方々の中心にいた時に向けられていたものだ。




強い視線に晒されることは、少し苦手。

お嬢様の時はいくらでも我慢出来るけど、プライベートなら余り好んで晒されたくない。





ちょっと捕食者の気分から解放されたくて、灰音の所までやってきたのだ。

目が合えば、彼女はニコッと目を細める。

それにつられて私も笑い返す。





……可愛いなぁ。

見た目は綺麗系で、中身はサバサバしてるとか、出来るキャリアウーマンみたいで凄く格好いい。



そう言えば灰音って、女の子なのに此処にいるって事は…………



「灰音は、天真先輩の彼女さんなの?」



疑問に思って聞いてみたんだ。





ピクリと、灰音の笑顔が固まった。

そしてそのまま顔が引き攣っていく様子に、聞いてはいけないことを聞いてしまったんじゃないかって、凄く焦って。




「ご、ごめんね!答えたくないなら別にいいの!」

気にしないで、と前言を撤回しようとした時、私の質問は思いもよらぬ方から返ってきた。




「灰音先輩は、北校連盟の副総長ですよ。」




口を開いたのは、入口近くにいた蛍君。

ね?と灰音に同意を求める。

そうして渋々といった様子で、灰音は「そうだよ」と答えたのだ。