恵がようやく手を離してくれた。



落ち着いて、自分の状況を確認して。

総長達に囲まれているこの体勢に、今更ながら逃げたくなった。




いや、怖くて逃げたいんじゃないよ。

此処まで関わって、無責任に“無かった事にしたくて”逃げたい訳でもないんだけど、




ルックスだけははなまる☆な恵。

天使と表現出来るだけの可愛さを持つ美琴。

色気は人一倍な美男子、夜白。

長い髪の似合う、中世的な天真先輩……。




無駄に顔面偏差値が高くて、有り得ない位煌びやかな集団の真ん中にいるのがいたたまれなくて……


なんなんだろうね、総長って。

チート集団か。




私の足は自然と、兄や親友達の方へ、特にこの場では唯一の同性の方へ向かう。




なんか、男だらけの空間なんだもん。


連盟高校での生活で慣れてない訳ではないし、中学3年間恵と橘と居たから、男がどうとかは今更だ。


だけどやっぱり、こんな状況。

女の子がいるなら、近くにいたいと思っちゃうよね。





「なんか懐いた!」


灰音に近づけば、灰音は花が咲くような笑顔で喜んでくれた。





「やっぱり、アイツラみたいなのって怖いよねぇ。いいよいいよ、一緒にいよ。」


アイツラっていうのは、勿論総長ズの事。

怖くないと言ったら、嘘になるかもしれない。




何が怖いって、目が時々怖い。


恵や夜白の目が怖いのは、なんら不思議じゃない。

けど、変人だけど癒し系であろう天真先輩や、黙っていれば天使な美琴の目まで時々怖くなるのだ。




なんか、射竦められそうな目。

例えるならば私は捕食されそうな草食動物だ。

出来ればシマウマがいい。

あのゼブラ模様がなんとも言えず大好きなんだ。