今の状況としては、前に恵、すぐ右に美琴、少し離れた美琴の奥に夜白。

そして私の後ろに天真先輩だ。


常識人な天真先輩に正直背中を向けるのは失礼極まりないし、


先輩と話す度に首を後ろに向けるから、首が痛い。

このままだとヘルニアになりそうなくらい痛い。




「恵、そろそろ離して。スマホ出したいし、首痛い。」



懇願すると、諸悪の根源と目が合う。

吸い込まれそうなくらい大きな瞳は半月を描いた。




「いいんだよ、気を遣わなくても。」

「え?」


返ってきたのは突拍子もない返事。

今の話に気を遣った所はあっただろうか。




「北原は先輩だから、本当は交換したくないけど仕方なく交換してあげるって言ってるんでしょ?初伊は優しいね。でも大丈夫。俺が北原を抹殺すれば、初伊はもう気を遣わなくてもいいね。」




…………やばい、やばいぞ。

このままだったら、天真先輩が抹殺される。

病みめぐモードは未だ収まらないらしい。




私は先輩とメアドを交換するのを嫌だとは思ってないのに、恵にはそう見えたのね。

かつて彼は“以心伝心”とか言っていたけれど、うん、やっぱり恵の良いようにしか伝わってないみたいだ!