北原さんのにこにこフェイスに、この場では得られそうになかった癒しを感じ、自然と私も笑顔になる。


さっきはおとぎ話の王子様みたい……なんて思ったけど、それよりも“お花”って感じだな。

見てるだけで癒されるんです。




そんなうふふえへへな世界を見て、美琴はおかしい……と深刻な口調で呟いた。



「おかしい……。北原君に初伊ちゃんが嫌悪感を抱いてないなんて……!」


それに対して“珍しく東麻に同感”と恵も言う。


北原さんに、嫌悪感?


抱いてないよね。

むしろこのブリザードな空間で、バシバシのマイナスイオンを出してくれている北原さんに感謝しかないよね。



「彼女には今、初めて会いましたからね。とはいっても……出来ることならこれからも嫌悪感は抱かないで欲しいんですが。」



ふふふと可愛らしく微笑む北原さん。

それを聞くと美琴は驚いて。



「……じゃああの電話はハッタリ!?」

「初伊ならずっと南にいたぁ。」

「良かった……初伊ちゃんが無事だ!」

「ええと、うん、無事?」




北原さんは、そんな暴力を振るう人には見えないし……。

もし本当に北にいたとしても無事だと思う。

美琴がそんなに“無事”を喜ぶことに違和感を感じたんだ。