このままじゃ、プラン実行コースまっしぐら。

うっかり流されて誓約書まで書かされて監禁……

有り得るから笑えない。




…………ヘルプ!

私は首だけ後ろを振り返った。

そこには呆気に取られる夜白と美琴。

私が助けを求めている事を悟ったらしい二人は我に返ると、



「悪ぃな……助け船を出そうとはしたんだけど……西巴の豹変ぶりに言葉を失ってた。」

「どうしよう。思いのほか西巴君が不気味で……。ねえこれ本当に西巴君?別人じゃない?」



恵を見ながら顔を引き攣らせる。





いや、謝らないで。

それが“病みめぐ”を見たときの正しい反応だ。

今は慣れっこ、むしろツッコミサイドの橘も、かつては何度も顔を引き攣らせていたから、初めてみた病みめぐに固まっていても何ら不思議ではない。






「おい、西巴。取り敢えず離してやれぇ。お前の大事な初伊の手に跡が残るぞ。」




夜白が言い聞かせるように、恵にそう言ってくれた。

恵も夜白も美琴も、私と同い年だけど夜白は一番お兄ちゃんみたいだ。


逆に美琴は年下なイメージ。

甘えてくるからかな。




そんな頼りがいのある夜白が、恵を注意してくれたんだけど。

恵はそんなの何処吹く風。

私を解放してくれる様子はない。




「南城。」

「あ?」

「今まで初伊を預かっていてくれてありがとう。返してね。」