「ごめんね、寂しい思いさせて。」


「くすぐったい!」と、恵の耳攻撃から全力で逃げた私。


恵と顔が近すぎるあの構図からは逃れられたけれど、恵からは逃げられなかった。


今も彼に手首をがっちり掴まれていて、逃げることは出来そうにない。



でも人間、捕まえられたら逃げたくなるものだよね。

そろそろ離してほしいなぁ、なんて。



恵がヤンデレモードを抜けたのは喜ばしいことだ。

拉致からの監禁が有り得る位の危うさだったからね。

でも……でもさぁ!

今の恵も私的には凄く困る!




甘い!甘いんだ!

砂糖に蜂蜜を……いや、蜂蜜に砂糖?

まぁそんな事はどっちでもいい。

とにかくだ。ヤンデレモードを抜けた恵君はベタ甘になるという習性をもつらしい。

何が甘いって……視線が、口調が、存在が甘い!





「もう離さないからね。」

「え?」

「24時間365日、一緒にいようね。」



ついには恵さん、そんな事を言い始めた。



「離さないって………。」

「うん、離さない。物理的にも、精神的にも。」




そこから恵の“物理的にも精神的にも離さないプラン”の説明が始まった。



それは……ええ、聞かなかった事にしたい程のベタ甘ラブラブプラン。

しかもかなり綿密に組まれているから、きっと前々から組まれていたものなんだろう。