「えっと、何が遅くなったの?」

「助けに来るのが、でしょ?」

「助けに……あ、もしかして、アオを北校まで助けに来てくれたの?」





お兄ちゃんの電話の相手……今思えば灰音が言っていたのは、アオが北にいるって事。


そして美琴は、前から私と北校を会わせたくないみたいだった。


前回うっかり東校に行ったときも、恵と夜白、橘とお兄ちゃんが助けに来てくれたよね。


そんな風に、美琴も“アオが北にいる”って聞いて、助けにきてくれたのかな。心配してくれたのかな。


そう思ったんだ。




「そうだけど…………アオを助けに?」


私の言い回しに疑問を感じてか、美琴はそう問いかけた。



その間も美琴は私を離す気はないらしい。

ぎゅうぎゅうと強まる腕に、流石に息苦しさと死の危険を感じて。



「美琴さん、く、苦しい。」

「そっか。……じゃあ、ずっと僕の腕の中で苦しんでて?」

「鬼!!」


可愛くても本質は悪魔君。

そうだ、それが東麻美琴だ。





「おい東麻……。苦しんでる。離してやれ。」


「え?嫌。だって僕が離したら南城君が抱きしめるでしょ?てかさぁ、そーんな優しい事言って、初伊ちゃんのポイントあげようとする魂胆はバレてんだよ。」


「………………うぜぇ。」


「ふふっ、よく言われるー。」





夜白が助け船を出してくれたけれど、それはあっさり客観される。

そしてやっぱりこの二人は、本当に仲が悪い。



あ。

この二人が会う度に、喧嘩の板挟みにされている事を今気づいた。

あは……知りたくなかった。