そんな反則技に対抗するには、正攻法ではいけなくて。

ましてはVS大量のヤンキー。

ここは……うん、あの手を使おう。



私はドアの前でうずくまる事にした。




「アオちゃん?!どうした?!」

「アオちゃん、具合悪いの?!」




あたふたと、騒ぐヤンキーズ。

私は知っていた。

南校ヤンキーズはお兄ちゃんと夜白に感化されすぎて、若干私に過保護になりつつある事を。



「気持ち悪い……」と呟けば、


「大丈夫か、おい!」

「誰か袋!いや、アオちゃんトイレいけるか?」



割と簡単に、扉は開いたのだ。


ちょろい、ちょろいぞ、お兄さん達。






「みんな…………。」

「「「「「「ん?」」」」」」」

「将来悪い女に捕まっちゃダメだよ!」




私はそう言って、ダッシュで部屋から出たのだ。

初めはポカーンとしていた彼らも、

状況を把握すれば私を追いかける。




「頼むから行かないで、アオちゃん!」

「ごめんなさい!」



私は、足はそれほど遅くない。

それのお陰で、ヤンキーズを撒いて外に出ることが出来た。


廊下での脱走劇に、数人の生徒がなんだなんだと凝視していたけれどそんなの今日は見なかった事にしよう。

幸い私は今、水南系女子だ。



外に出れば偶然コンビニ帰りの連盟所属のヤンキーお兄さんに会うことが出来て。


事情を知らない彼は、「お兄ちゃんに北に来いって言われたの」と言えば快く北校まで送ってくれた。



そうして辿りついた北校連盟。

ここに来るのは二回目だ。

私は彼にお礼を言って、そのドアをくぐったのだ。



……すぐお兄ちゃんにバレたけど。