「本格的に始めなきゃなー。西の裏切り者探し。大方……予想はついてるけど。……お久しぶりです。烏丸吉良先輩。」


背後にいたのは、吉良。


気づいていたのか……と驚きの混ざった声を吉良はあげた。




「先輩は、結局烏丸が大切なんですよね。
だから、烏丸を襲おうとしたこいつ等の居場所を、家の力で探し出して敵討ちしようとした。

……なら言葉に出してやってください。上手く隠してるけど、苦しんでるんですよ、烏丸。」




じっと行成は吉良を見つめて視線を逸らさせない。





「家族の問題だ。」





数秒たって、吉良が苦しそうに出した答えに、行成は怒りを覚えた。




「……“お前は、妹じゃない”って、あんたをあれだけ慕ってた烏丸によく言えましたね。それなのに“家族の問題”?笑わせんな。

次烏丸を傷つけたら、問答無用で“消します”から。」





それじゃあ失礼します、と行成は吉良を残して去っていった。






「俺にはもうそんな資格はないんだよ……。」



残された吉良は、ポツリと呟いた。